子供の円形脱毛症とストレス

子供の円形脱毛症も最近増えています。皮膚科の先生の中には「円形脱毛症は自己免疫が関与した疾患でストレスなどは関係ない」と断言される先生もいらっしゃいますが、多くの患者さんの治療にあたっていると、どうしてもストレスなども含んだ精神の状態=「心の在り方」の問題が重要になります。

子供では、家庭環境、学校、最近では塾などと、昔より負担になる要素が増えています。このような事情で子供の脱毛症は確実に増えています。子供の場合、親(特に母親)の関わりが強いので、親の理解が得られるかどうかで治療効果に差が出ると思わます。

なお、子供によって違いますが、3才前後から針治療は可能ですが、がまんできない子には強いて勧めません。(小児針は0歳~3歳が対象)

子供の円形脱毛症におけるストレスの類型

当院は最年少の発症は7ヵ月からありましたが、一般には2才~3才位が多いようです。このころの子供は社会への適応(自立)にトラブルが生じていることが多いのですが、むしろこの年代で発症したほうが子供の成長には良いことのように思います。小学校低学年は親のコントロールが可能な時期なので、親が「この子には何か相当大きなトラブルが生まれているな」と認識して、生活環境(精神的、物質的)を再チェックしてください。

子供を植物で例えると、栄養、水、日照など幾つもの問題が重なってねじれ曲がって成長していて、その歪みの訴えが円形脱毛となって現われたと考えてください。そうすれば真直ぐな成長過程に戻すには何が大切かが自ずと解ってくると思います。

当院では、今までの臨床経験からお子さんのストレスの類型をまとめています。

子供の円形脱毛症は鍼で治療出来ます~小児円形脱毛症~

円形脱毛症の中でも、髪の毛が全部抜けてしまう全頭型や、全体に地図状に抜けてしまう重症の多発型などは、皮膚科の中でも扱いにくい病気の代表です。全頭型や多発型といった重症の円形脱毛症の状態が数年間治らない場合、難治性円形脱毛症と診断されます。

当院は、発症後数年して来院される難治性円形脱毛症の患者さんが多いため、いつの間にか脱毛症専門の鍼灸院と思われるようになってしまいました。(ちなみに70%が毛髪関係の患者さんです。)中でも、子供の脱毛症を治療できる数少ない治療院の一つです。 (当院に来られる患者さんの年齢層としては、小児円形脱毛症は生後8か月から2・3歳といった低年齢も多くいらっしゃいます。)

なお、円形脱毛症とアトピー性皮膚炎を合併しているケースが、小児で約75パーセントあります。

小児円形脱毛症もアトピー性皮膚炎も、病気の原因は同じ要因ですので、当院では同時に治療を行っています。

円形脱毛症の種類

(1):単発性円形脱毛症

病巣が1個のみの状態が、数年間続く場合と、約3ヶ月から半年で自然になおってしまう場合があります。

(2):多発性円形脱毛症

数か所の病巣が出来ます。発毛と脱毛を繰り返す場合が多く、やがて(3)に進行していきます。

(3):多発融合性円形脱毛症

多数の病巣があって、それらが一部で融合します。脱毛はさらに急速に進行します。

(4):全頭性円形脱毛症

全頭が脱毛します。精神のバランスをくずし、神経症の病状を呈する場合もあります。

(5):汎発性円形脱毛症、悪性円形脱毛症

全頭の他、眉毛、睫毛、鼻毛、耳毛、ひげ、腋毛、手足毛、陰毛などの体毛が脱毛します。ハゲる悩みで、性格が神経質になって防御的に変わってくることが多くあります。

子供の円形脱毛症の症例

円形脱毛症(全頭性)及びアトピー性皮膚炎 10代 男性 京都在住
円形脱毛症症例 全頭性 男性

●中学1年生の2学期(9月頃)に、右横に10円玉くらいの円形脱毛症が出来ました。しばらく放っておいたところ、左にも出来ました。そこで、T病院に行き、ステロイドの塗り薬を処方され、毎日1日2回つけていました。中学2年生の5月位に、治るかと思っていたところ、新たに右の耳の上に少し大きな円形が出来てきました。その円形はだんだん大きくなり、7cmから8cmくらいの大きさになりました。
●中学3年生の夏休みにK病院に行き、SADBE(スクアリシク ジブテル エステル)療法を行いました。まず、SADBEという物質のついたテープを貼って、その物質にかぶれを起こしやすい状態にし、それから薄い濃度のものを2週間に1度通院して塗るというものでした。これは、すぐに効果が現れ、10月くらいにはずいぶん小さくなりました。
●ところが、12月からいろんなところが、また凄い勢いで抜け出してきました。12月、1月、2月は、本当に抜けがひどかったです。
この原因は、受験の為に家庭教師をつけて、かなりハードな勉強でストレスになったためだと思います。

院長のコメント:
週に2~3回の通院で、薬の副作用でかなり時間がかかるかと思ったのですが、予想より早く発毛しました。 半年後、頭皮のむくみが残っていますが、その後、回復してきました。

円形脱毛症 単発性 男性 10代 大阪府在住
円形脱毛症症例 単発性 男性
院長のコメント:
単発性は治りが早く、週に2回の通院で3ヶ月で回復しました。症状を放置すると、急に多発性や全頭性に移行することが多いので注意して頂きたいと思います。
円形脱毛症 全頭性(悪性) 男性 10代
円形脱毛症症例 全頭性(悪性) 男性
院長のコメント:
小児期から発症した方です。ステロイド剤を長期使用していました。全身の体毛、頭髪が全て抜けていました。皮膚は毛穴が見えないほどの重症例です。週に3回の通院をして頂きました。非常に意志の強い方です。
円形脱毛症 全頭性(悪性) 女性 10代
円形脱毛症症例 全頭性(悪性) 男性
院長のコメント:
上の例と似ており、小児期に発症しました。ステロイド剤を長期使用していました。来院後、ステロイド剤を中止しました。来院時には、多少の産毛が残っている状態でした。一年間、週に3回の通院で回復されました。

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